ここから本文です

発掘調査事業・出土遺物等整理

発掘調査事業支援業務等出土遺物整理業務他出土遺物整理支援業務

平成30年度実施事業

発掘調査事業

田屋(たや)遺跡の第3次発掘調査等【和歌山市】

 県道紀伊停車場田井ノ瀬線道路改良事業に伴う発掘調査を実施しました。第3次調査では、主に7世紀末~8世紀の遺構を検出しました。特に、現存する六箇井(ろっかい)用水と並行するように見つかった溝は、幅3.0m、残存する深さ約1.7mから当時の主要な水路であった可能性があり、六箇井用水の原型だった可能性があります。

調査区全景(真上から、写真右側が現在の六箇井用水)

吉礼(きれ)Ⅲ遺跡の発掘調査等【和歌山市】

 県道和歌山橋本線道路改良工事に伴う発掘調査を実施しました。調査では、15世紀以前の水田や流路が見つかりました。これらは、文献史料にある荘園等に関係する遺構の可能性があります。調査完了後、発掘調査記録類や出土遺物の整理を行い、調査報告書を刊行しました。

 
調査区全景(真上から)  

和田岩坪(わだいわつぼ)遺跡の発掘調査【和歌山市】

 和歌山平野農地防災事業名草排水機場建設工事に伴う発掘調査を実施しました。調査は調査地を東西に分割して行い、西側の調査地から弥生時代終末期から古墳時代後期にかけて埋まった自然流路(川)を発見し、大量の遺物が出土しました。また、東側の調査地からは、弥生時代前期の土坑や鎌倉時代の屋敷地に伴う遺構が見つかりました。

 
自然流路(川)から見つかった笧(しがらみ)状遺構  

和歌山城跡(わかやまじょうあと)の発掘調査【和歌山市】

 和歌山県立医科大学薬学部新設に伴う発掘調査を実施しました。調査では、江戸時代の礎石建物や土塀基礎・石積み排水溝・井戸・ごみ穴・埋桶・溜桝・半地下式倉庫・蹲踞(つくばい)・竈(かまど)など、織豊期(しょくほうき)の遺構には、大溝・井戸・土坑のほか畠(はたけ)の畝(うね)など、中世以前では、井戸のほかに畠の畝や鋤溝(すきみぞ)・畦畔(けいはん)・水路と考えられる溝などを検出しました。今回の調査により江戸時代の武家屋敷内の様子や生活の内容を垣間見ることができる資料を得られたほか、江戸時代以前の調査地周辺の土地利用の変遷を追うことができました。

江戸時代の大型半地下式竈(かまど) 古代の瓦(左:蓮華文軒丸瓦、右:平瓦) 

藤並(ふじなみ)地区遺跡の発掘調査等【有田川町】

 一般国道42号(湯浅御坊道路)の4車線化事業に伴う発掘調査を実施しました。調査では、中世の落ち込みや江戸時代の土坑などを検出することができましたが、建物跡など直接生活に結びつくような遺構は検出できず、出土遺物も少なく細片であったため、調査区付近は中世以降は水田であったと考えられます。調査完了後、発掘調査記録類や出土遺物の整理を行い、調査報告書を刊行しました。

 
調査区全景(北北西から)  

道湯川(どうゆかわ)集落跡(仮称)の発掘調査【田辺市】

 熊野古道見どころ整備事業に伴う発掘調査を実施しました。調査では、中世に建てられたとみられる掘立柱建物跡や近現代の礎石(そせき)建物跡を検出しました。また、こうした遺構や調査地周辺から鎌倉時代の山茶碗や皿、室町時代の中国製青磁、室町時代から江戸時代の土師器皿、江戸時代の陶磁器などが出土しました。

 
調査区全景(南から)  

新宮城下町(しんぐうじょうかまち)遺跡の第2次発掘調査【新宮市】

 平成27年度の第1次調査に引き続き、新宮市文化複合施設建設に伴う発掘調査を実施しました。調査では新宮城下町の道路遺構や屋敷区画の石垣、中世の地下式倉庫・掘立柱建物・大型土坑、古墳時代の土坑、縄文時代の土坑などの遺構が検出されましたが、その中でも特に地下式倉庫が注目されます。中世の遺構群は当時の海上交通や新宮の発展過程などを検討するうえで重要な発見と考えられます。

焼失した地下式倉庫(北から) 調査区全景(北北西から)

このページのトップへ


支援業務等

紀の川市内遺跡の発掘調査支援【紀の川市】

 紀の川市教育委員会から宅地開発に伴う発掘調査の一部を支援業務として受託し、実施しました。支援業務の内容は、岡田(おかだ)Ⅱ遺跡の発掘調査で、技術職員を派遣して、機械掘削や人力掘削の指示のほか、遺構等の図面作成及び写真撮影を行いました。調査では、奈良時代の掘立柱建物、土坑状遺構、溝状遺構などを検出しました。

 
調査区全景(南から)  

根来寺(ねごろじ)遺跡の発掘調査支援【岩出市】

 和歌山県教育委員会が実施する旧県会議事堂整備事業に伴い、根来寺遺跡発掘調査支援業務を実施しました。支援業務の対象は、移築された旧県会議事堂の西側で検出された根来寺遺跡の半地下式倉庫の再発掘及び型取り複製品製作です。型取り複製品は、今後、現地に設置する予定です。

 
半地下式倉庫の型取り作業風景
※和歌山県内埋蔵文化財調査成果展「紀州のあゆみ」より
 

湯浅町内遺跡の発掘調査支援【湯浅町】

 湯浅町が実施する青木(あおき)Ⅰ遺跡と湯浅城跡の確認調査の発掘支援業務を実施しました。
青木Ⅰ遺跡は湯浅城跡南東側の平地部に所在する中世の遺物包蔵地で、土坑・ピット等が検出され、中世の土師器・瓦器(がき)が出土しました。湯浅城跡では、焼土塊・炭片を多数含む遺物包含層と土坑・ピット・焼土坑、整地土とみられる複数の層と多数の礎石状の石及び焼土面を確認しました。これらは14世紀を中心とする時期のものとみられ、特に下から2面目の遺構面は火災を受けたものとみられ、焼土と炭が薄く堆積しており、土師器片・瓦器片が確認されました。ほかにも、岩盤を削り込んで堀切(ほりきり)が作られている状況などが確認されました。

1区 中世の礎石と火災痕跡 2区 堀切の掘削状況 

竜松山城跡(りゅうしょうざんじょうあと)、坂本付城跡(さかもとつけじろあと)の発掘調査等支援【上富田町】

 上富田町教育委員会が実施した竜松山城跡、坂本付城跡の発掘調査等業務について、一部の作業工程を受託し、支援業務を実施しました。竜松山城は室町幕府の奉公衆・山本氏の居城とみられ、坂本付城はその対岸に位置する城跡です。これらの城跡から出土した遺物の台帳作成、注記、接合・補強、復原、遺物実測図・トレース図の作成と坂本付城跡の遺構図のトレース作業を行いました。

 
実測した図面  

このページのトップへ


出土遺物整理業務他

川辺(かわなべ)遺跡、東城跡(とうじょうあと)出土遺物整理【和歌山市】

 平成29年度に和歌山県から受託して実施した都市計画道路西脇山口線道路建設に伴う川辺遺跡、東城跡の発掘調査において出土した遺物および現地調査記録等の整理を行い、調査報告書を刊行しました。

 
土器復元作業  

このページのトップへ


出土遺物整理支援業務

安宅本城跡(あたぎほんじょうあと)の出土遺物整理支援【白浜町】

 白浜町教育委員会が遺跡内容確認として実施した安宅本城跡発掘調査の出土遺物整理作業について、一部の作業工程を受託し、支援業務を実施しました。白浜町教育委員会の指示のもとに、出土遺物の実測やトレース作業、台帳類の作成などを行いました。

 
トレース作業  

get-adobe-readerPDFファイルをご覧いただくには、Adobe Readerが必要です。PDF形式のファイルを開けない場合は、Adobe Readerをパソコンにインストールして下さい。 ソフトはAdobe社のサイトから無料でダウンロードできます。