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発掘調査事業・出土遺物等整理

発掘調査事業支援業務等整理・整理支援業務等

平成29年度実施事業

発掘調査事業

東城跡(とうじょうあと)の発掘調査【和歌山市】

 都市計画道路西脇山口線道路建設工事に伴う発掘調査を実施しました。調査では、これまで伝承の域を出なかった東城跡の堀と考えられる遺構を検出しました。東城跡の主屋については、今回の調査区のさらに南東側に建てられていたと思われます。この主屋を含め、堀を含む全体の規模・内容を解明していくためにも、今後開発が進むと考えられる周辺の調査に十分留意していくことが必要と思われます。

東城跡堀(北西から) 竪穴建物群(西から) 

川辺(かわなべ)遺跡の発掘調査【和歌山市】

 都市計画道路西脇山口線道路建設事業に伴う発掘調査を実施しました。調査では、弥生時代~古墳時代の流路、弥生時代~古墳時代の周溝墓の一部又は区画溝、弥生時代後期の土器棺墓、古代~中世の流路や畦畔、水田等を確認しました。調査地周辺は、弥生時代に開発され、水田や流路、一部墓域として利用された後、古代~中世にも、引き続き流路の開削が行われ、水田を伴う生産域として利用されていたとみられます。

 
2-1区全景(東から)  

吉礼(きれ)Ⅲ遺跡の発掘調査【和歌山市】

 和歌山橋本線道路改良工事に伴う発掘調査を実施しました。調査では、中世後半のものとみられる鋤溝や溝、水田、畦畔、土坑、ピット、小河川等を検出しました。調査地周辺は中世以前に開析谷が埋没し、中世から現在まで耕作地として利用されてきたとみられます。遺構からは、中国製の白磁小碗や瓦器小片等が出土しました。

 
1区全景(北から)  

田屋(たや)遺跡の第2次発掘調査【和歌山市】

 県道紀伊停車場田井ノ瀬線道路改良事業に伴う発掘調査を実施しました。調査では、古代末から中世の流路1条や中世以前とみられる掘立柱建物2棟、古墳時代中期前半の竪穴建物1棟、古墳時代中期後半から後期前半の竪穴建物14棟、流路6条以上、その他多数の土坑、ピット、自然流路を検出しました。調査で確認した古代末から中世の流路等は調査地北側を東西に流れていた六箇井用水の支流に向かうことから、六箇井用水の成立時期を特定するに至らないものの、関連性が推測されます。また、竪穴建物が数多く見つかったことから周辺に集落が展開するものと推定されます。

2-2・2-3区全景(真上から:右側が北) 

和歌山城跡(わかやまじょうあと)の発掘調査【和歌山市】

 和歌山県立医科大学薬学部新築に伴う発掘調査を実施しました。調査では、遺構面が全9面(江戸時代4面、織豊期を含む中世以前5面)存在することが明らかになりました。多数の遺構を検出しましたが、なかでも、井戸の数は20基以上と目立って多く、1区・3区付近は屋敷地の中でも台所などの生活空間であったことが窺えます。遺物では、多量の国産陶磁器や銭貨、鉄製品、木製品などがあり、なかでも17世紀初頭頃の唐津焼や織部焼・志野焼などが多く出土していることが特徴です。

 
1区第5遺構面(真上から:左側が北)  

祓殿石塚(はらいどいしづか)遺跡の発掘調査【田辺市】

 熊野古道見どころ整備事業に伴う発掘調査を実施しました。調査では当初予測していた経塚遺構(きょうづかいこう)は確認できませんでしたが、15×4mの範囲で、最大厚0.6mを測る近世後半18~19世紀の石塚遺構や同時期とみられる集石遺構、13世紀にまで遡及する可能性がある中世の石列や集石遺構を検出しました。熊野参詣と関連がある宗教的な施設であった可能性が高いとみられ、とりわけ近世の石塚遺構は、参詣者が熊野参詣に際して大斎原(おおゆのはら)を前にし、自らの穢れを落とすために周辺の礫を積んだ結果、形成されたものと推定されます。

 
石塚遺構検出状況  

藤並地区遺跡第3次発掘調査の発掘調査【有田川町】

 一般国道42号(湯浅御坊道路)の4車線化に伴う発掘調査を実施しました。調査面積が狭く、攪乱も多かったものの、中世の溝状遺構や土坑、近世の耕作溝などを検出することができました。このうち東西に走る中世の溝状遺構は水田耕作に伴う水路の可能性が考えられます。

 
調査区全景(北から)  

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支援業務等

和歌山城跡の第34次発掘調査の支援【和歌山市】

 和歌山市の依頼を受けて旧伏虎中学校校舎基礎解体工事に伴う和歌山城跡第34次発掘調査の支援業務を実施しました。支援業務の内容は、和歌山城跡発掘調査の実施に伴い、機械掘削及び人力掘削、実測図面作成の指示、写真撮影等を行っています。

 
6区第2遺構面 集石遺構検出状況(西から)  

天王塚古墳第2次発掘調査の支援【和歌山市】

 和歌山県の依頼を受けて和歌山県立紀伊風土記の丘が実施する天王塚古墳発掘調査等の支援業務を実施しました。支援業務の内容は、紀伊風土記の丘職員の指示のもと、天王塚古墳発掘調査等の支援を実施するために必要な発掘調査等機材の調達、必要な人員の確保、消耗品等の手配や実測図面等の記録類の作成を行いました。

 
実測作業状況  

亀川遺跡の発掘調査支援業務(亀川小学校)【海南市】

 海南市から依頼を受け、支援業務として発掘調査を実施しました。調査では、現地表下約1.0~1.3mで弥生土器を含む包含層を確認しました。遺構は、弥生時代後期の構1条や弥生時代後期の土器の密集する箇所を4箇所確認し、土器廃棄の凹み状遺構として検出しました。

 
凹み状遺構土器出土状況(廃棄土坑)  

亀川遺跡の発掘調査支援業務(亀川中学校)【海南市】

 海南市から依頼を受け、支援業務として発掘調査を実施しました。調査では、弥生時代後期の竪穴建物(円形)2棟、弥生時代終末期の竪穴建物(方形)1棟、弥生時代後期の溝状遺構1条、中世の掘立柱建物1棟と溝状遺構1条を検出しました。

 
竪穴建物検出状況(北西から)  

粟島遺跡の発掘調査支援業務【紀の川市】

 紀の川市からの依頼により、粟島遺跡の発掘調査を支援業務として受託しました。検出した遺構は、掘立柱建物、溝状遺構、土坑状遺構などで、いずれも出土遺物から古代のものと考えられます。掘立柱建物は7棟検出しましたが、東側の高所で検出した建物の柱穴は遺存状態が良好でないことから、当時の生活面はもっと高かったことが推測できます。

 
調査地北西部全景(南から)  

椒浜(はじかみはま)遺跡の発掘調査等支援【有田市】

 有田市の依頼を受けて和歌山県教育庁が実施する椒浜遺跡確認調査等の支援業務を実施しました。支援業務の内容は、椒浜遺跡確認調査等に必要な発掘調査等機材の調達、必要な人員の確保や作業日誌等の記録類の作成です。

 
第2区平面実測状況  

立野遺跡の確認調査等支援【すさみ町】

 すさみ町の依頼を受けて和歌山県教育庁が実施する立野遺跡確認調査等の支援業務を実施しました。支援業務の内容は、遺跡確認調査等に必要な発掘調査等機材の調達、必要な人員の確保、機械掘削等委託の手配や作業日誌等の記録類の作成です。調査後は記録した平面図および土層図等のトレースや出土遺物の実測図作成などを行いました。

 
確認調査作業風景  

新宮城下町遺跡の確認調査(2)支援【新宮市】

 新宮市が計画している文化複合施設建設に伴い、新宮市教育委員会が実施する新宮城下町遺跡の確認調査を円滑に行うための調査支援を行いました。調査では遺構面が3面(第1遺構面:江戸時代、第2遺構面:古墳時代から中世、第3遺構面:縄文時代)存在していることが明らかになりました。検出した江戸時代の遺構には道路遺構や屋敷地石垣・石積み基壇、中世の遺構には道路遺構・地下式倉庫や大型土坑・柱穴、古墳時代の遺構には竪穴建物などがあります。中世全般に営まれていた湊の存在が窺え、文献史料に登場する「新宮津」であった可能性があります。

 
重複する地下式倉庫(濃茶食部:西から)  

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整理・整理支援業務等

新宮城下町遺跡の第2次整理【新宮市】

 当文化財センターが新宮市から受託して実施した新宮市文化複合施設建設に伴う新宮城下町遺跡第1次発掘調査業務の第2次出土遺物等整理業務として出土した遺物および現地調査記録等の整理を行いました。出土遺物の接合・補強作業、遺物実測作業、また、遺物実測作業を実施したうちの拓本が必要な遺物は拓本作業を実施しました。

 
遺物充填材による土器補強作業  

根来寺遺跡の出土遺物等整理支援【岩出市】

 当文化財センターが平成26年度に岩出市教育委員会から受託して実施した根来寺周辺観光拠点整備事業に伴う根来寺遺跡発掘調査について、発掘調査報告書作成に必要な作業工程の一部を根来寺遺跡出土遺物等支援業務として受託して実施しました。作業内容は、発掘調査時の作成記録類の整理および水洗い済みの出土遺物を対象に注記、接合、補強、遺物実測図作成、トレース、版組、編集、遺構および遺物についての原稿執筆の作業を行いました。

 
接合作業  

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