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発掘調査事業・出土遺物等整理

発掘調査事業支援業務等出土遺物整理業務他出土遺物整理支援業務

令和元(平成31)年度実施事業

発掘調査事業

田屋(たや)遺跡の第4次発掘調査【和歌山市】

 県道紀伊停車場田井ノ瀬線道路改良事業に伴う発掘調査を実施しました。第4次調査では、8世紀ごろの土師器・須恵器・製塩土器が多数出土した土坑のほか、北東から南西方向に斜行して延びる幅約2.4m、深さ0.5~0.6mの大溝を検出しました。

多数の土器が出土した土坑(東から)

且来(あっそ)Ⅴ遺跡の発掘調査【海南市】

 秋月海南線道路改良事業に伴い、且来Ⅴ遺跡の発掘調査を実施しました。調査では、河川の氾濫堆積により遺構の多くが削平されていましたが、土坑、柱穴・小穴、溝、落ち込み等を検出し、弥生土器・土師器・須恵器・瓦(古代)・瓦器・サヌカイト剥片等が出土しました。

2区 検出遺構全景(北から)

天路山城跡(てんじやまじょうあと)の発掘調査等【日高郡日高町】

 比井漁港漁村再生交付金事業に伴う天路山城跡発掘調査等を実施しました。調査地は天路山城跡の山頂主郭と南側山裾部の「土居」と呼ばれる平坦地とのほぼ中央に位置する狭小な平坦部で、曲輪状の平坦部と山頂主郭から「土居」まで延びる登城経路あるいは斜路状部が岩盤が形成して作られていることが明らかとなりました。発掘調査終了後、整理作業を行い、調査報告書を刊行しました。

調査地遠景と比井漁港(北上空から)

里野中山城跡(さとのなかやまじょうあと)の発掘調査【西牟婁郡すさみ町】

 一般国道42号線すさみ串本道路建設に伴う里野中山城跡の発掘調査を実施しました。調査では、里野中山城跡が主郭の四方に土塁を巡らせた山城であることが明らかとなりました。曲輪内部では、土塁の裾部を巡るように排水溝のような溝状の窪みのほか、水溜めと見られる土坑や通路状の遺構を検出し、出土遺物から安土桃山時代から江戸時代初め頃まで山城が存続していたことが明らかになりました。

曲輪(北半部)と土塁

結城城跡(ゆうきじょうあと)の発掘調査【串本町】

一般国道42号線すさみ串本道路建設に伴う結城城跡の発掘調査を実施しました。調査では、結城城跡のある丘陵の東麓の一部を調査し、多くの柱穴と小穴、石積井戸と石列を検出しました。室町時代から安土桃山時代、安土桃山時代から江戸時代初頭ごろの遺物が出土しています。

2区 石積井戸と石列(西から)

道の川集落跡(仮称)の発掘調査等【田辺市】

 熊野古道見どころ整備事業の3年目として、熊野参詣道中辺路沿道の廃村となった道の川集落跡の発掘調査及び解説板の設置等を行いました。発掘調査では、集落の開始が文献資料より遡ることが今回の採集資料から明らかとなりました。発掘調査後、出土品整理業務を実施し、平成29・30年度の成果と合わせて報告書を刊行しました。

解説板設置完了

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支援業務等

根来寺(ねごろじ)遺跡の発掘調査支援【岩出市】

 和歌山県教育委員会が実施する旧県会議事堂整備事業に伴う根来寺遺跡発掘調査支援業務を実施しました。内容は、支援業務に必要な発掘調査等機材の調達、必要な人員雄確保、機械掘削等の手配です。階段状遺構の型取を実施するため、重機掘削及び人力掘削で型取範囲を再発掘し、レプリカ作成のための型取を行いました。また、昨年度、型取した半地下式倉庫のレプリカを現地に設置しました。

階段状遺構型取作業風景(和歌山県教育委員会 提供)

和歌山城跡(わかやまじょうあと)の第39次発掘調査支援【和歌山市】

 公益財団法人和歌山市文化スポーツ振興財団が実施する和歌山城跡第39次発掘調査の支援業務を実施しました。内容は、機械掘削・人力掘削、図面作成・写真撮影等記録保存作業の支援等です。調査地は江戸時代評定所が所在したところで、第1~3遺構面を確認し、評定所に関連するとみられる役所名や人名の書かれた墨書土器、水琴窟状遺構や井戸、石列、礎石、大型石組遺構を検出しました。

大型石組遺構(年報2019より引用)

青木Ⅰ遺跡の発掘調査支援【有田郡湯浅町】

 湯浅町が実施する青木(あおき)Ⅰ遺跡の発掘調査支援業務を実施しました。
内容は航空写真測量・基準点測量、機械及び人力掘削、遺構実測図の作成作業、写真撮影、埋戻し作業の支援です。瓦器椀が11個程度重なった状態で出土した地鎮遺構が確認され、出土遺物から遺跡は概ね鎌倉時代のものと考えられます。

瓦器椀出土状況(湯浅町教育委員会 提供)

天路山城跡の発掘調査等支援【日高郡日高町】

 日高町が実施する天路山城跡の確認調査について支援業務を実施しました。人力掘削、埋戻し作業等の現場指示、実測、写真撮影、調査後の実測図と写真整理、出土遺物の水洗・注記・実測図作成・トレース等を実施しました。

竜松山城跡(りゅうしょうざんじょうあと)の発掘調査等支援【西牟婁郡上富田町】

 上富田町教育委員会が実施した竜松山城跡の発掘調査等業務について、一部の作業工程を受託し、支援業務を実施しました。竜松山城は室町幕府の奉公衆・山本氏の居城とみられる城跡です。出土した遺物のうち、土器類・石製品類及び鋳造関連遺物について、注記、接合・補強、遺物実測図・トレース図の作成作業を行いました。

遺物の実測作業

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出土遺物整理業務他

和歌山城跡(わかやまじょうあと)第1次出土遺物整理【和歌山市】

 平成29・30年度に和歌山県から受託して実施した和歌山城跡の発掘調査において出土した遺物および現地調査記録等の整理を実施しました。平成31(令和元)・令和2年度の2カ年で実施する業務の第1次であり、遺物の注記・登録・接合・補強及び実測図作成、現場図面の整理、各種データのパソコン入力などを行いました。

遺物の接合作業

和田岩坪(わだいわつぼ)遺跡出土遺物等整理【和歌山市】

 平成30年度に近畿農政局から受託して実施した名草排水機場建設工事に伴う和田岩坪遺跡の発掘調査において出土した土器類、木製品等(収納コンテナ78箱)を対象に水洗・注記・接合等を行い、また木製品の一部については樹種同定や保存処理を実施しました。現地調査記録等の整理を行い、成果をまとめた調査報告書を刊行しました。

樹種同定のための切片プレパラート作成

田屋遺跡の第1次出土遺物等整理【和歌山市】

 平成27~31年度にかけて実施した田屋遺跡の発掘調査において出土した遺物や現地調査記録の整理作業で、2次に渡り実施する業務の第1次です。発掘調査で出土した土器類、石器類(遺物収納コンテナ64箱)について、水洗・注記・接合・復元・実測を行い、調査記録の整理やデジタルトレースを実施しました。

遺物の接合作業

新宮(しんぐう)城下町遺跡の第3次出土遺物整理【新宮市】

 平成30年度に実施した新宮市文化複合施設建設に伴う発掘調査で出土した遺物や現地での記録類の整理業務を行いました。出土遺物は土器類、瓦類、石製品、金属製品等(遺物収納コンテナ212箱)が対象です。出土遺物の水洗・注記・接合・復元・実測を行い、現地での記録資料の検討・修正、一部のデジタルトレースを実施しました。

遺物の実測作業

立野遺跡の出土遺物等整理【西牟婁郡すさみ町】

 平成29年度に和歌山県教育委員会が実施した立野遺跡発掘調査で出土した遺物(遺物収納コンテナ7箱)の注記・登録・木質製品の収納作業と調査報告書の編集作業を実施し、調査報告書を刊行しました。

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出土遺物整理支援業務

湯浅町内遺跡の報告書作成支援【有田郡湯浅町】

 湯浅町が実施する湯浅町内で実施された湯浅城跡と青木(あおき)Ⅰ遺跡の試掘確認調査で出土した遺物等の資料を整理し、報告書の作成を支援する業務を実施しました。
内容は、出土遺物の接合・補強・実測図作成・トレース・写真撮影及び調査区・遺構のトレース作業を行い、湯浅町が作成した本文原稿をもとに、組版・編集・校正を行い、調査年報を作成しました。

遺物実測図の組版作業

新宮城下町遺跡の出土遺物等整理支援【新宮市】

 新宮市文化複合施設建設に先立ち調査された遺物等のうち、現状保存されることとなった範囲(第1次調査の東部の大半と平成28年度に実施された確認調査)のものにについて新宮市が総合的な調査報告書を作成するための支援業務として、土器類、瓦類、石製品、金属製品等(遺物収納コンテナ75箱)を対象に、水洗・注記・接合・復元、実測図の作成を実施しました。

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